[[index.html|醒睡笑]] 巻4 そでない合点 ====== 21 中風をわづらふ者あり医者のもとに行き脈を見せければ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-062|<>]] 中風をわづらふ者あり。医者(いしや)のもとに行き、脈を見せければ、「薬ばかりにては治しがたき証なり。風市(ふじ)((底本表記「冨市」。))・三里に灸をすゑられよ」と言ふに、「いづれも重ねて談合(だんかう)候はん」と、急ぎ宿に帰り、「さてさて、うつけたる医師(くすし)の申されやうや。富士は聞きおよびたる大山なり。その富士三里が間に灸をせよとは、いかに病が治るとても、そもそも艾(もぐさ)が続くものか」と。 雄長老   灸すゑて富士に煙は絶やさねどなほちかぢかとあしびきの山 [[n_sesuisho4-062|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 中風を煩(わつらふ)者あり医者(いしや)のもとに行き脈(みやく)を見   せけれは薬(くすり)斗にては治しかたき証なり冨市(ふし)   三里に灸をすへられよといふにいつれも/n4-44r   かさねて談合(たんかう)候はんといそきやとにかへりさて   さてうつけたるくすしの申されやうや冨士(ふし)は聞(きき)   及たる大山也其ふし三里か間に灸をせよ   とは如何に病がなをるとてもそもそももく   さがつつく物かと雄長老    灸すへて冨士に煙はたやさねと    猶ちかちかと足曳のやま/n4-44l