[[index.html|醒睡笑]] 巻4 そでない合点 ====== 13 手負ひには有馬の湯ほど薬はないと人みな言ふを聞きたる庖丁人あり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-054|<>]] 「手負ひには有馬の湯ほど薬はない」と、人みな言ふを聞きたる庖丁人(はうちやうにん)あり。さる所の振舞ひに、雁(がん)の汁をするとて雇ひければ、亭主にも問はず、客人の幾人(いくたり)あるにもかまはず、むざと切りたるぞ役に立たず。 亭、大きに腹立(ふくりふ)しければ、かの庖丁人、「その儀ならば、別の雁を切らしられよ。この切りたるは手負ひなり。有馬の湯に入るれば治る。大事ない」と。 [[n_sesuisho4-054|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 手負には有馬の湯ほと薬はないと人みな   いふをききたる庖丁(はうてう)人ありさる所のふる   まひに雁(かん)の汁をするとてやとひけれは   亭主にもとはす客人のいくたりあるにも   かまはすむさときりたるぞやくにたたす/n4-40l   亭大に腹立しけれは彼庖丁人   其儀ならは別(へつ)の雁(かん)をきらしられよ此き   りたるは手負なりありまの湯にいるれはなをる   大事ないと/n4-41r