[[index.html|醒睡笑]] 巻4 そでない合点 ====== 10 神々の祭礼といふも仏閣の祈祷といふも・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-051|<>]] 「神々の祭礼といふも、仏閣の祈祷といふも、主(しう)のとぶらひ、親の年忌(ねんき)、いづれか祝言(しうげん)・無祝言(ぶしうげん)、飲むと食ふとにもれたるやある」と物語するを聞いて、「さればこそ、天照大神も、内宮外宮(ないくうげくう)と立たせられた」と。 「それは何たる子細ぞや」と問へば、「『無いも食ふ、下(げ)も食ふ』といふことよ」と。「それならば、富貴の人の食ふむねはなきかや」。「それこそ飯酒(めしさけ)はおんぞろかのけて、さいくう((斎宮・菜食うふ))と立ち給ふは」。 天平十三年、皇太神((伊勢神宮))内宮南の大杉下において、行基持念七日の夜、寝殿おのづから開き大声にて唱へて曰く、「実相真如の日輪は生死の長夜を照らす。本有常住の月輪は煩悩の迷雲を爍破(しやくは)す」。 [[n_sesuisho4-051|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 神々の祭礼(さいれい)といふも仏閣の祈祷(きとう)といふも/n4-39r   主のとふらひ親の年忌いつれか祝言(しうけん)無祝言(しうけん)   のむとくふとにもれたるやあると物語するを   きいてされはこそ天照太神もないくうけくう   とたたせられたとそれはなにたる子   細そやととへはないもくふ下もくふといふこ   とよとそれならは冨貴の人のくふむねは   なきかやそれこそ飯酒(めしさけ)はおんそろかのけて   さいくうとたち給ふは天平十三年皇太   神於内宮南大杉下行基持念七日之夜/n4-39l   寝殿自開大声にて唱曰 実相真如之日   輪照生死之長夜本有常住之月輪(ハ)爍破(シヤクハス)   煩悩之迷雲/n4-40r