[[index.html|醒睡笑]] 巻4 そでない合点 ====== 5 児に髪を結ひて参らする侍従ある朝われをば何ほどふびんに思し召すやと問ふ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-046|<>]] 児に髪を結ひて参らする侍従、ある朝、「われをば何ほどふびんに思し召すや」と問ふ。児、櫛の歯に水をつけ、その雫(しづく)を落し、「この露ほど大切なる」よしあれば、「曲(きよく)もなや。なんぼう奉公いたすも((「いたすも」は底本「いそすも」。諸本により訂正。))、いたづらごとや」と深く恨みける時、   露といふ心を知らぬはかなさよ消ゆるばかりに思ふわが身を 僧都源信   人の身を露の命といひけるもつひには野辺に置けばなりけり [[n_sesuisho4-046|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 児(ちこ)に髪をゆひて参らする侍従(じじう)ある朝   われをはなにほとふひんに思召やととふ児   櫛のはに水をつけその雫(しつく)を落(おと)し此露   ほとたいせつなるよしあれは曲(きよく)もなやなむ   ほう奉公(ほうこう)いそすもいたつら事やとふかくうら   みける時露といふ心をしらぬはかなさよ消(きゆ)る   はかりにおもふ我身を 僧都源信    人の身を露の命といひけるも/n4-37l    つゐには野辺にをけはなりけり/n4-38r