[[index.html|醒睡笑]] 巻4 そでない合点
====== 4 折々柳原の道三へ出入りの人あり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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折々、柳原の道三((曲直瀬道三。道三は代々襲名されており、ここでは曲直瀬玄朔か。))へ出入りの人あり。病者に向かひ、「瀉(しや)するか、結(けつ)するか」と問はるるを聞きゐて、ある時その子細を問ふ。「『瀉する』とは、くだるなり((下痢をする))。『結する』とは、くだらぬなり」。
「これは、こびたることや」と思ふみぎり、類親のうちなる商人(あきびと)来たりて、「明朝芸州へまかりくだるが、御用の儀は候はぬや」と言ふ時に、「何と芸州へ瀉する、やがて結せよ」と。
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===== 翻刻 =====
一 折々柳原(やなぎはら)の道三へ出入の人あり病(ひやう)者に
むかひ瀉(しや)するか結(けつ)するかととはるるを聞ゐて
ある時其子細をとふ瀉(しや)するとはくたる也結(けつ)するとは
くたらぬ也これはこびたる事やとおもふ砌類親(るいしん)
の中なる商人(あきひと)来りて明朝藝州(けいしう)へまかり
くたるが御用の儀は候はぬやといふ時になにと/n4-37r
藝州へ瀉(しや)するやがてけつせよと/n4-37l