[[index.html|醒睡笑]] 巻4 いやな批判 ====== 9 はじめは富みて世を過ぐしける人にはかに落ちぶれたれば・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-035|<>]] はじめは富みて世を過ぐしける人、にはかに落ちぶれたれば、せんかたなく髪を剃り、何のあてごとはなけれど、田舎にくだり、傘(からかさ)をさしかけられ、位高(くらゐだか)なるふりをして歩(あり)く。 人これを見、「あれは何としたる家高(いへたか)ぞや」。一人が言ふ「ただ公家といふ人であらうまでよ」。「いや、一とせわれも在京して、公家たちのふりをも見たりしが、あれやうなるは見ぬ」と。一人が言ふ、「公家でなくは、十げといふであらうず」と。 [[n_sesuisho4-035|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 始はとみて世を過しける人俄に落ぶれたれば/n4-31r   せんかたなく髪をそりなにのあてことはなけ   れと田舎にくだり傘(からかさ)をさしかけられ位(くらゐ)た   かなるふりをしてありく人是を見あれは   なにとしたる家高(たか)そやひとりかいふ唯公家と   いふ人であらふまてよいや一とせわれも在京   して公家たちのふりをも見たりしかあれやうなる   はみぬと一人かいふくけてなくは十げと   いふてあらふずと/n4-31l