[[index.html|醒睡笑]] 巻4 聞こえた批判 ====== 12 綾小路にて板返しする日家主の女房屋根に上がりしが・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-011|<>]] 綾小路にて、板返しする日、家主の女房、屋根に上がりしが、いかが踏みはづして落ちたり。隣りの女房、その下にゐあはせ、頭(あたま)の上へころびかかれば、首の骨ちがひて死にけり。 その女の夫(おつと)、理不尽に、「わざと殺さんとて落ちたるものなり。是非こらへまじき」と言ひ、所司代へ出づる。伊賀守殿((板倉勝重))、「余儀(よぎ)なき存分なるまま、幸ひ手本あり。右家主(いへぬし)の妻を、わが女のゐたるところに置きて、そちの屋根に上がり、最前のごとく落ちかかりて、憎しと思ふ相手の女を殺せ」とあれば、言葉もなく帰りつることよ。 [[n_sesuisho4-011|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 綾(あやの)小路にて板かへしする日家主の女房屋   ねにあかりしがいかか踏(ふみ)はつして落たり   となりの女房其下にゐあはせあたまの   上へころびかかればくびの骨(ほね)ちがひてしにけり   其女の夫(おつと)理不尽(りふしん)に態(わさと)ころさんとておち   たる物也是非こらへましきといひ所司代へ/n4-15l   出る伊賀守殿余儀なき存分なるまま幸   手本あり右家ぬしの妻を我かをんなの居   たる処に置てそちのやねにあかり最   前のことく落かかりてにくしとおもふあい   てのおんなをころせとあれはこと葉もなく   帰りつる事よ/n4-16r