[[index.html|醒睡笑]] 巻4 聞こえた批判 ====== 3 市の立つ町のかしらに小宮を建てて夷の作りたるあり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho4-002|<>]] 市の立つ町のかしらに小宮を建てて、夷(えびす)の作りたるあり。立ち寄る者、「あら、いつくしのえびすや」と褒むるを聞いて、「あれを『えびす』とは言はぬものぞや。『きびす』と言ふが本(ほん)なり」とからかふ。 「町奉行へ上げてすませ」と、双方出でたりければ、「どちも大事なし。木にて作りたるは、何時(なんどき)も『きびす((木びす))』、紙に描きたるは、いつとても『えびす((絵びす))』と言ふべし」。 [[n_sesuisho4-002|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 市のたつ町のかしらに小宮(みや)をたてて   ゑびすの作りたるありたちよるものあら   いつくしのゑびすやとほむるをきいてあれ   をゑひすとはいはぬ物ぞやきびすといふがほん/n4-4l   なりとからかふ町奉行(まちぶぎやう)へあけてすませと双方   出たりけれはどちも大事なし木にてつくり   たるはなんときもきびす紙(かみ)にかきたるはいつとても   ゑひすといふへし/n4-5r