[[index.html|醒睡笑]] 巻3 文の品々 ====== 4 さるところにて釈迦の文を見たはと語る・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho3-069|<>]] 「さるところにて、釈迦の文(ふみ)を見たは」と語る。聞く人感じ、「声聞(しやうもん)・縁覚(えんがく)・羅漢(らかん)の内、誰々への宛て所ぞや」。「耆婆(きば)が方への文なり」。「さては、竹はしに梵字か。文章いかにや」と問ふ。 「そのことよ。紙は日本一の播磨杉原に、鳥養様(とりかいやう)をもつて、いかにも墨をかうかうと、『このほどは久不懸御目候(久しくお目に懸からず候ふ)。四五日以前、霊鷲山(りやうじゆせん)の麓(ふもと)にて風をひき、咳気(がいき)散々に候ふ。薬一二貼可給候(薬一・二貼給はるべく候ふ)。賢(かしく)。 耆婆殿参る。釈迦判』」。 [[n_sesuisho3-069|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 さる処にてしやかのふみを見たはとかたる聞   人感じ声聞(しやうもん)縁覚(ゑんかく)羅漢(らかん)の内誰々への   あて所そや耆婆(きば)か方へのふみ也さては竹   はしに梵字(ぼんし)か文章いかにやととふ其事   よ紙は日本一の播磨杉原に鳥飼(とりかい)様を   もつていかにも墨をかふかふと此程は久ふ懸   御目候四五日以前霊鷲山(りやうしゆせん)の麓(ふもと)にて風   をひき咳気散々に候薬一二貼可給候賢(かしく)/n3-31l   耆婆殿まいる尺迦判/n3-32r