[[index.html|醒睡笑]] 巻3 不文字 ====== 27 八景のうちに遠寺の晩鐘とは・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho3-045|<>]] 「八景のうちに、遠寺(ゑんじ)の晩鐘とは、村里遠き山寺に、入あひの鐘の声、つくづく聞くもおもしろやな」と言ふを、「こびたること」と思ひゐしが、ある時、客に寺へ行き、夕陽(せきやう)西に傾(かたぶ)くころより碁を打ち始め、火を灯せども立つことを忘れたるに、「初夜の鐘も、はやとく鳴りぬる」とは言はひで、「もはやみなお立ちあれかし。遠寺の晩鐘もとく鳴つた」と。 [[n_sesuisho3-045|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 八景(けい)のうちに遠寺(ゑんじ)の晩鐘(はんしやう)とは村里とをき/n3-20l   山寺に入あひの鐘のこゑつくつくきくもおもしろ   やなといふをこひたる事とおもひゐしかある時   客に寺へ行夕陽(せきやう)西にかたふく比より碁を   うち始火をともせともたつ事をわすれたるに   初夜の鐘もはやとくなりぬるとはいはひて   もはやみなおたちあれかし遠寺の晩鐘も   とくなつたと/n3-21r