[[index.html|醒睡笑]] 巻3 不文字 ====== 20 侍めきたる者の主に向ひおかべの汁おかべの菜と言ふを・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho3-038|<>]] 侍めきたる者の、主(しう)に向ひ、おかべの汁・おかべの菜((豆腐の女房詞。「おかべ」は「お壁」で白壁に似ていることから。))と言ふを、「さやうの言葉は女房衆の上に言ふことぞ」と叱られ、「げにも」と思ひゐけるが、ある時、主の上臈(じやうらふ)に供して振舞(ふるまひ)より帰りたるに、主人、座敷の始終を問はる。「朝食の上に囃子(はやし)の候ひつる」と語る。「謡(うたひ)はなになに」などとありしかば、「しかとは存ぜず候ふ。なにも、豆腐ごしに承りてあるほどに」と。 [[n_sesuisho3-038|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 侍めきたる者の主(しう)にむかひおかへのしるおかべ   のさいといふをさやうのことばは女房衆の上   にいふ事そとしかられけにもと思ひゐけるが   ある時主の上臈(らう)にともしてふるまひより帰り   たるに主人座敷の始終(しじう)をとはる朝食の   上にはやしの候つるとかたる謡(うたひ)はなになに   なととありしかはしかとは存せす候なにも/n3-18l   たうふごしに承りてあるほとにと/n3-19r