[[index.html|醒睡笑]] 巻3 不文字 ====== 9 始めて奉公に出る侍のありしが奏者する人に御名字はと問はれ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho3-027|<>]] 始めて奉公に出る侍のありしが、奏者(そうしや)する人に、「御名字は」と問はれ、「磯貝(いそがい)」と答う。「磯は」と言へば返事なし。「さだめて磯辺の磯なるべし。『がい』は」と尋ぬれば、「よからふやうに」と。「しりがい((鞦))がよからう」と言ふ。「何、せめてむながひ((胸懸))のがいにしてくだされよ」と。 されば時頼禅門((北条時頼))も   読み書きのことさらいるは弓矢とり急度注進(きつとちうしん)急度回文(きつとくわいぶん) [[n_sesuisho3-027|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 始て奉公(ほうこう)に出る侍のありしか奏者する人に   御名字はととはれ磯貝(いそかい)とことふ磯はといへは   返事なしさためて磯辺の磯なるべしがいは/n3-14l   とたつぬれはよからふやうにとしりがいがよから   ふといふ何せめてむなかひのがいにしてくたされ   よとされば時頼(ときより)禅門も    よみかきのことさらいるは弓矢とり     急度注進急度回文/n3-15r