[[index.html|醒睡笑]] 巻3 文字知り顔 ====== 17 脈とては浮中沈をも弁ぜず七表八裏九道二十四の名をさへ知らぬほどの医者あり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho3-016|<>]] 脈とては浮中沈(ふちうちん)をも弁ぜず、七表(しちへう)・八裏(はちり)・九道(くだう)二十四の名をさへ知らぬほどの医者あり。 脈を取りて後、病者に問ふ、「胸は痛む心ありや」。「なかなかあり」。「さうであらう、脈にさう候ふ。さて、足は冷ゆることありや」。「いや、温かな」。「さうであらう、脈にさうある。頭痛ありや」。「いや、なし」。「さうであらう。脈にあうた」と。この作法にても、お医師(くすし)様ではある。 病人となりて薬を申しうけんは、こはものぢやの((この一文、底本小書き。))。 [[n_sesuisho3-016|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 脈とては浮中沈(ふちうらん)をも弁(べん)ぜす七表八裏九   道廿四の名をさへしらぬほどの医者あり脈(みやく)を   とりて後(のち)病者にとふ胸はいたむ心ありや   中々あり左右てあらふ脈に左右候扨足は   ひゆる事ありやいやあたたかな左右てあらふ/n3-10r   脈に左右ある頭痛(づつう)有やいやなし左右てあ   らう脈にあふたと此作法にてもおくすしさまては   ある 病人となりて薬を申うけんはこは物ぢやの/n3-10l