[[index.html|醒睡笑]] 巻3 文字知り顔 ====== 6 医者に向かつて白朮とは何を申すや・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho3-005|<>]] 医者に向かつて、「白朮(びやくじゆつ)とは何を申すや」。「をけらといふ草なり」と。 こびたることに思ひ、客をまうけたる席に、中間(ちうげん)、かの草を縁のはしに持ち出で、「白朮を掘りて参りた」と言はせ、「そこにおけら((オケラ・置けら))」と言うてくすめり。 近ごろ蚊虻(もんもう)((文盲))なる人、感にたへ、帰りて中間に教へおき、わざと人を呼び振舞ひけるに、中間、うち忘れ、「をけらを掘りて参りた」と。亭主よう言ふ顔にて、「そこに白朮せよ」と。 [[n_sesuisho3-005|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 医者にむかつて白朮(ひやくじゆつ)とはなにを申やをけら   といふ草なりとこひたる事におもひ客を   まうけたる席(せき)に中間かの草をゑんのはし   に持出白朮をほりて参りたといはせそこに   をけらといふてくすめり近比蚊虻(もんもう)なる人/n3-5l   感にたへ帰りて中間にをしへおき態(わさと)人を   よひふるまいけるに中間打わすれをけらを   ほりて参りたと亭主よふいふかほにてそこに   白朮せよと/n3-6r