[[index.html|醒睡笑]] 巻2 賢だて ====== 7 人の親の大事にわづらふ時針立の上手とて呼び来たる・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho2-096|<>]] 人の親の大事にわづらふ時、針立(はりたて)の上手((鍼師))とて呼び来たる。針立、すなはち天突の穴に針刺す。息女あまたまはりにゐて見るうちに、気色変はる。「ととの顔の色が変はりたるは」と、はらはら((「はらはら」は底本「はらばら」もしくは「はしばし」。))泣くを見て、針立、目を見出だし、「何事に、むざと泣くまい」と戒め、針を抜くと同時に、「さあ泣け」と言ふ。 「わつ」と泣くまぎれに出でて逃げたり。 [[n_sesuisho2-096|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 人の親の大事にわつらふ時針立の上手とて   よひ来る針立すなはち天突の穴にはり   さす息女あまたまはりにゐて見る内に気   色かはるととの顔の色かかはりたるはとはら   ばら泣を見て針立目を見出し何事に/n2-49l   むさとなくまいといましめ針をぬくと同   時にさあなけといふわつとなくまぎれに   出てにけたり/n2-50r