[[index.html|醒睡笑]] 巻2 賢だて ====== 4 出家のさまかへて武士になりたるが馬に乗り遊行する道に・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho2-093|<>]] 出家の、さまかへて武士になりたるが、馬に乗り遊行(ゆぎやう)する道に、「何やらん珍しく赤漆にて塗りたる物あり」と見付け、小姓を招き取り寄せけるに、小姓渡しざまに、「これは伊勢海老(いせえび)にて候ふ」と申したるに、「そち体(てい)さへ知りたる伊勢海老を、われが知らいでおこうか。これは朱のさしやうの珍しさに見るよ」と。 雄長老   朱をまぜて漆ぬるでの紅葉(もみぢば)はまづ秋風にまけて散るらん [[n_sesuisho2-093|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 出家のさまかへて武士になりたるが馬にのり   遊行する道になにやらんめつらしく赤漆   にてぬりたる物ありと見付小姓をまねき   とりよせけるに小姓はたしさまにこれは   伊勢海老にて候と申たるにそち体さへ   しりたるいせえひを我れがしらいでをこふか   これは朱のさしやうのめつらしさに見るよと      雄長老    朱をませて漆ぬるての紅葉は/n2-48l    まつ秋風にまけてちるらん/n2-49r