[[index.html|醒睡笑]] 巻2 賢だて ====== 1 ぬからぬ顔したる男大名のもとへ参る・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho2-090|<>]] ぬからぬ顔したる男、大名のもとへ参る。「何とて久しく見えなんだぞ」。手をついて、「この一両月、癲癇気(てんかんけ)に取り紛れ不参(ふさん)つかまつり候ふ」と申し上げし。 友達と座を出づるに、「そちは咳気(がいき)をこそわづらひつれ。ありのまま申さずし、いらぬ病の名を言ひつることよ」。「いや、咳気は初心(しよしん)に誰も知りたり。ちととばして『てんかん』と言はいでは」。 [[n_sesuisho2-090|<>]] ===== 翻刻 =====    賢達て 一 ぬからぬ顔したる男大名のもとへ参る何とて   久見へなんだそ手をついて此一両月癲   癇気に取紛不参仕候と申上し友達と   座を出るにそちは咳気をこそわつらひつれ   ありのまま申さすしいらぬ病の名をいひつる   事よいや咳気は初心に誰もしりたりちと   とはしててんかんといはひては/n2-47l