[[index.html|醒睡笑]] 巻2 吝太郎(しはたらう)
====== 6 ある寺の住持弟子に言ひ付けぬるやう・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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ある寺の住持(ぢうぢ)、弟子に言ひ付けぬるやう、「客あらんたび忘れざれ。まづ盃(さかづき)を出だしては、愚僧が手の置きどころを見よ。額にあらば上の酒、胸をさすらは中の酒、膝をたたかば下の酒、この極そむくことなかれ」と示す。
一度や二度こそあらめ、人皆後は見知りたりしに、させらぬ檀那、参詣する。例のごとく、「酒を一つ申せや」とて、膝をたたきしかば、檀那、手を突きて、「とても御酒(ごしゆ)を賜はらば、額をなでてくだされいで」と。
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===== 翻刻 =====
一 ある寺の住持弟子にいひつけぬるやう客あ
らんたびわすれされまつ盃を出しては/n2-40l
愚僧が手の置処を見よ額にあらは上の酒
胸をさすらは中の酒膝をたたかは下の酒
此極そむく事なかれとしめす一度や二度
こそあらめ人皆後は見しりたりしにさせ
らぬたんな参詣する例のことく酒を一つ
申せやとてひさをたたきしかはたんな手
をつきてとても御酒をたまはらはひたひを
なててくたされいてと/n2-41r