[[index.html|醒睡笑]] 巻2 躻(うつけ) ====== 27 十人ばかり連れ立ちて北野へ夜ぶかに参詣しけり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho2-058|<>]] 十人ばかり連れ立ちて、北野((北野天満宮))へ夜ぶかに参詣しけり。二十五日の群集(くんじゆ)なれば、押し押され下向する道すがら、夜もほのかに明けぬ。 友達の中に一人、腰のまはりを見れば、脇差(わきざし)の鞘(さや)ばかりに刀をそへてさしたり。「こは何としたぞ」と言ふに、肝をつぶし、鞘を抜き、吹いて見つ、叩いて見つすれどもなし。 あげくに言ふことは、「おれなればこそ、鞘を取られね」。 [[n_sesuisho2-058|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 十人斗つれたちて北野へ夜ふかに参詣/n2-33l   しけり廿五日のくんしゆなれはをしをされ   下向する道すから夜もほのかにあけぬ友   達の中に一人腰のまはりを見れは脇指   のさやばかりに刀をそへてさしたりこは何   としたぞといふにきもをつふしさやをぬき   ふいて見つたたいて見つすれどもなしあ   けくにいふ事はおれなれはこそさやを   とられね/n2-34r