[[index.html|醒睡笑]] 巻2 躻(うつけ)
====== 17 脇に出る大夫楽屋にて目に仏を失ひ物をたづねまはる風情あり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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脇(わき)に出る大夫、楽屋にて目に仏を失ひ、物をたづねまはる風情あり。人みな不審し、「何が見えぬぞ((「ぞ」は底本「ぼ」。諸本により訂正。))。ともどもたずね見ん」と言へども「いや、ちと物が」と秘所(ひしよ)して言はず。
ありありて後、「ただ今ここに置きたる烏帽子が無い」と。「そちが頭(あたま)に着てゐるは」と笑ふ時にぞ、探り見て、「まことにけんようもない所にあつたよ」。
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===== 翻刻 =====
一 わきに出る大夫がく屋にて目に仏をうしなひ
物をたつねまはる風情あり人みなふしんし
なにが見えぬぼともともたつね見んといへとも/n2-29l
いやちとものがと秘しよしていはすありありて
のち唯今爰におきたるゑほしかないと
そちかあたまにきてゐるはとわらふ時にそ
さぐりみて実にけんようもない所にあつたよ/n2-30r