[[index.html|醒睡笑]] 巻1 無智の僧 ====== 2 大般若を転読の施主あり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho1-126|<>]] 大般若((大般若経))を転読の施主あり。形ばかりは出家の身、読むべきあてはなけれど、いかやうにも座を張り布施を得たき望みあるゆゑ、法衣をまとひ膝を組み、人々、「大般若波羅蜜(だいはんにやはらみつ)」と高声(かうじやう)に読めば、経を広げ同じ調子にあげ、 「大檀那三蔵法師(だいだんなさんざうほつし)((玄奘))めが((「めが」は底本「める」。諸本により訂正。))用ない物を持(も)て来ておいて、人に難儀(なんぎ)をかくるはや」 と言へども、人は聞かなんだげな。 [[n_sesuisho1-126|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 大般若(たいはんにや)を転読(てんどく)の施主ありかたちはかりは   出家の身よむへきあてはなけれといかやう   にも座をはりふせを得たき望(のそみ)あるゆへ法   衣をまとひ膝(ひさ)をくみ人々大般若波羅蜜と   高声(かうしやう)によめは経をひろけおなし調子にあけ/n1-61r   大たんな三蔵ほつしめるようない物をもて   きてをいて人に難義をかくるはや」といへとも   人はきかなんたけな/n1-61l