[[index.html|醒睡笑]] 巻1 鈍副子
====== 23 京にて口脇白き男ちと出家をなぶり理屈につめて遊びたやと思ひつつ・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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京にて口脇(くちわき)白き男、「ちと出家をなぶり、理屈につめて遊びたや」と思ひつつ、さかしき人に向ひ問ふ。「やすきことなり。教へむ。なんぢ沙門(しやもん)にあうた時、『お僧はいづくへ』と言ふべし。さだめて、『風にまかせて』と言はれんずる。その時、『風なき時はいかん』と言へ。やがて閉口すべし。
この教へを得、ある朝、東寺の門前にて出家に行きあふ。『お僧はいづくへ』と問ふ。僧の返事に、「立ち売りの勘介が所へ斎に行く。何ぞ用ありや」。男、とつてにはぐれ、「あら、お僧は風にはおまかせないの」と。
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===== 翻刻 =====
一 京にてくちわきしろき男ちと出家をなぶり
りくつにつめてあそひたやとおもひつつさかし
き人にむかひとふやすき事なりをしへむ
なむち沙門(しやもん)にあふた時お僧はいづくへといふへ
しさためて風にまかせてといはれんする其時風
なき時はいかんといへやかて閉口(へいこう)すへし此をしへを
得ある朝東寺の門前にて出家に行あふお
僧はいつくへととふ僧の返事にたちうりの/n1-57l
勘介か所へ斎に行なにそ用ありや男とつ
てにはくれあらお僧は風にはおまかせないのと/n1-58r