[[index.html|醒睡笑]] 巻1 鈍副子 ====== 13 塔頭の僧途中より客をつれ立ち帰る・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho1-109|<>]] 塔頭(たつちゆう)の僧、途中より客をつれ、立ち帰る。小僧出でて、「ここなる縁には虱(しらみ)が候ふ」と言ふ。坊主、目をして、「そのやうなことを高くは言はぬものぞ」と叱られし。 重ねて立ち寄り、虱と思ひしをしづかに見、坊主に向ひささやき、「虱ではおりない。わたがみの落ちたでござつた」。   虱ほど世をへつらはぬものはなし貧なるものになほも近付く [[n_sesuisho1-109|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 塔頭(たつちう)の僧途中(とちう)より客をつれたち帰る小   僧出て爰なる縁には虱(しらみ)か候といふ坊主目   をしてそのやうな事をたかくはいはぬ物そと   しかられしかさねて立より虱とおもひしをしつ   かに見坊主にむかひささやき虱ではおりない   わたかみのおちたて御さつた/n1-52l    しらみほと世をへつらはぬ物はなし    貧なるものになをもちかつく/n1-53r