[[index.html|醒睡笑]] 巻1 鈍副子 ====== 7 研屋にある小名の刀をあつらへほどふりて後宿を問ひ寄られければ・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== [[n_sesuisho1-103|<>]] 研屋(とぎや)に、ある小名の刀をあつらへ、ほどふりて後、宿を問ひ寄られければ、「お目にかけん」と持ち出でたり。さつと抜き、見る見る、「さてもあら下手や。あたら一腰(ひとこし)を捨てたよ」と腹立(ふくりふ)し、小姓に渡さる。 亭主、赤面しながら門(かど)送りして、かの袂(たもと)をひかへ、「殿様は私をさんざんに仰せ候ふが、下手がこれやうに大きなる家を持つものでござるかや」。 [[n_sesuisho1-103|<>]] ===== 翻刻 ===== 一 ときやにある小名(みやう)の刀(かたな)をあつらへ程ふり   て後宿をとひよられけれはお目にかけん   と持出たりさつとぬき見る見るさてもあ/n1-49l   ら下手やあたら一腰をすてたよと腹立し   小性にわたさる亭主赤面しなから門送し   て彼(かの)袂(たもと)をひかへ殿様は私をさんさんに   おほせ候か下手かこれやうに大なる家をもつ   物で御ざるかや/n1-50r