蒙求和歌 ====== 第13第9話(189) 叔夜玉山 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 叔夜玉山 ** 晋の山公((山濤))がいはく、「嵆叔夜((嵆康))、姿は巌々とぞ、孤松の独り立てるかごとし。酔(ゑ)ひたることは隈然として、玉山のまさに崩れむとするがごとし」と言へり。常に琴を弾き、酒をすすめて、心をなぐさめけり。後、中散大夫たり。晋代なり。   秋山は紅葉(もみぢ)の色に酔ひにけりさめたる夏の名をぞ倦むまで ===== 翻刻 ===== 叔夜玉山  晋ノ山公カ云ク嵆叔夜スカタハ巌/々トソ孤松ノヒトリタテルカコトシ酔(ヱイ)タル コトハ隈然トシテ玉山(サム)ノマサニクツレムトスルカコトシトイヘリツネニ琴ヲ ヒキ酒ヲススメテ心ヲナクサメケリ後中散大夫(フ)タリ晋代ナリ アキ山ハモミチノイロニエヒニケリ サメタルナツノナヲソ倦むまて/d2-34l