蒙求和歌 ====== 第11第7話(157) 王褒柏惨 ====== ===== 校訂本文 ===== ** 王褒柏惨 ** 晋の王褒、父におくれて、墓のほとりに庵(いほり)を結びて、泣く泣く明かし暮らしけり。涙、墓の上松柏にかかり、松柏これがために痛み、枯れたる色をなせり。常に詩を読みけり。 またいはく、褒、常に墓所に至り。栢のもとにひざまづきて泣く。涙、木にかかりて、木、これがために枯れたりと言へり。 惨字なし。おぼつかなし。((注がまぎれたものか。なお、書陵部本は「またいはく」からここまで無し。))   庵(いほり)さす岡部(おかべ)のかへの下枝(しづえ)とて同じ歎きの露ぞこぼるる ===== 翻刻 ===== 王褒栢惨(サム)  晋ノ王褒チチニヲクレテハカノホトリニ/イホリヲムスヒテナクナクアカシクラシ ケリナミタハカノウヘ松栢ニカカリ松栢コレカタメニイタミカ レタル色ヲナセリツネニ詩ヲヨミケリ又云ク褒ツネニ墓 所ニイタリ栢ノモトニヒサマツキテナクナミタ木ニカカリテ木 コレカタメニカレタリト云リ惨(サム)字ナシヲホツカナシ/d2-20l イヲリサスヲカヘノカヘノシツヘトテ ヲナシナケキノツユソコホルル/d2-21r