[[index.html|唐鏡]] 第二 周の始めより秦にいたる
====== 21 晋 文公 ======
===== 校訂本文 =====
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晋の文公、亡(ばう)に従し功臣を賞するに、介子推(かいしすい)に及ばず。子推か従者、憐みて、書を宮門に懸けて曰く、「竜天に上らむとす。五蛇輔(たす)((底本「五蛇輔」に「コジヤフ」と読み仮名。))けたり。竜すでに雲に上(のぼ)る。四蛇おのおのその宇に入りぬ。一蛇独り怨む」。
文公、出でてその書を見て曰く、「これ介子推ならむ」とて、人をして召すに、すなはち逃げぬ。緜上山(めんじやうさん)((「緜上」は底本表記「綿上」。「綿ト云山ニ入テ」と異本注記。))に入りて焼け死ぬ。
文公、その山を封じて介子田とす((「とす」は底本「とらす」。底本の異本注記により訂正。))。寒食((底本表記「塞食」))とて、冬至の後一百日((底本「百五日」と異本注記。))といふに三日火を禁ずるは、子推が焼け死にしことを悲しびてなり。
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===== 翻刻 =====
晋文公(シンブンコウ)亡(ハウ)に従し功臣を賞するに介子推(カイシスイ)におよはす子推か
従者(シユウシヤ)憐て書を宮門に懸て曰く龍天に上むとす五蛇輔(コジヤフ)
たり龍已(テニ)に雲にのほる四蛇各其宇に入ぬ一蛇独怨/s46l・m83
https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100182414/viewer/46
む文公出て其書を見て曰くこれ介(カイ)子推ならむとて
ひとをして召すにすなはちにけぬ綿上山(メンシヤウサン)(イニ綿ト云山ニ入テ)に入てやけ死ぬ
文公其山を封して介子田(テン)とらす(トスイ)塞食とて冬至(ジ)の
後一百日(イ百五日)といふに三日火を禁するは子推かやけ死にしこと
をかなしひてなり/s47r・m84
https://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100182414/viewer/47