十訓抄 第十 才芸を庶幾すべき事 ====== 10の44 小野篁三守の大臣にその娘を望みける文を持て・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 小野篁、三守の大臣((藤原三守))に、その娘を望みける文を持て、手づから渡りけるとかや。 その詞にいはく、   才非馬卿((馬卿は司馬相如を指す。)) 弾琴未能   身異鳳史((鳳史は簫史を指す。)) 吹簫猶拙 大臣、これを見て、感じて聟になしてけり。 これ、歌に同じきうへ、文をみづから持て行く。ついで(([[s_jikkinsho10-43|前話]]のついで))に加ふ。 ===== 翻刻 ===== 四十七小野篁三守の大臣にその娘をのそみける文をもて手つ からわたりけるとかや、其詞云、 才非馬卿弾琴未能身異鳳史吹簫猶拙/k82 大臣これをみて感して聟になしてけり、是哥に同きうへ、 文をみつからもて行次に加ふ、/k83