十訓抄 第六 忠直を存ずべき事 ====== 6の2 晋の文公の父献公の怒れるに恐れて他国へ移り給ひけるに・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 晋の文公の、父献公の怒れるに恐れて、他国へ移り給ひけるに、途中にして疲れ臥して、行歩に及ばざりけり。 介子推、これを助けて、股の肉を切りて供するによて、力付きて逃げ遁れて、のちに、つひに献公の跡を継ぎけり。 ===== 翻刻 ===== 二晋ノ文公ノ父献公ノイカレルニ恐テ、他国ヘ移給 ケルニ、途中ニシテ疲臥テ行歩ニ及ハサリケ リ、介子推此ヲタスケテ股ノ肉ヲ切テ供スル ニヨテ、力付テ逃遁テ、後ニ遂ニ献公ノ跡ヲ/k33 継ケリ、/k34