[[index.html|一言芳談抄]] 巻之下
====== 85 願生房の云はくその昔明遍上人に会ひ奉りて・・・ ======
===== 校訂本文 =====
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願生房(ぐはんしやうばう)の云はく、「その昔、明遍(みやうへん)上人に会ひ奉りて、十八道伝受のついでに、字輪観(じりんくわん)受け奉るべきよし、所望(しよまう)のところに、上人示して云はく、『学生(がくしやう)・智者(ちしや)なこのみ給ひそ。釈迦仏の因位(いんい)にも、学生・智者にてはましまさず、半偈(はんげ)の為に身を投げ、虎の為に命を捨つる道心者にてこそましまししか。しかれば、深法(じんほふ)は無用のことなり。道心こそ大切なれ』云々。
これを承はつて後、輪観(りんくはん)これを許さるるといへども、習ひ奉るべからざる志あひ催ほしたりき」云々。
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===== 翻刻 =====
願生房云(ぐはんしやうばうのいはく)。其昔(そのむかし)明遍上人(みやうへんしやうにん)にあひたてまつりて。十
八道伝受(だうでんしゆ)の次(つゐで)に。字輪観(じろんくはん)可奉受(うけたてまつるべき)よし。所望(しよまう)
の処(ところ)に。上人示云(しめしていはく)。学生(がくしやう)智者(ちしや)な。このみ給そ。釈迦(しやか)
仏(ほとけ)の因位(いんい)にも。学生(がくしやう)智者(ちしや)にてはましまざす。為(ために)/ndl2-10r
半偈(はんけの)投(なけ)身(みを)為(に)虎(とらの)捨(すつる)命(いのちを)道心者にてこそ。ましまし
しが。然(しかれ)ば。深法(しんほう)は無用(むよう)の事也。道心(だうしん)こそ大切(たいせつ)なれ云々
是(これ)を承(うけたまはつ)て後(のち)。輪観(りんくはん)雖被許之(これをゆるさるるといへども)。不可奉習(ならひたてまつるべからざる)。志相催(こころさしあいもよほし)
たりき云々/ndl2-10l
https://dl.ndl.go.jp/ja/pid/2583391/1/10