平中物語 ====== 第8段 またこの男大方なるものから時々をかしきことは言ひけり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== また、この男、大方なるものから、時々をかしきことは言ひけり。 それに、桜のいみじうおもしろきを折りて、男の言ひやる。   咲きて散る花と知れるを見るときは心のなほもあらずもあるかな 女、返し。   年ごとの花にわが身をなしてしか君が心やしばしとまると ===== 翻刻 ===== れはものもいはてやみにけり又この男 おほかたなるものからときときおかしき ことはいひけりそれにさくらのいみしう おもしろきををりておとこのいひやる さきてちる花としれるをみるときは 心のなをもあらすもあるかな 女かへし/13ウ としことのはなにわか身をなしてし かきみか心やしはしとまると/14オ