[[index.html|古今著聞集]] 魚虫禽獣第三十
====== 691 同じき二年祇園会を菅博士行衡三条堀川にて見けるに・・・ ======
===== 校訂本文 =====
同じき((承安。[[s_chomonju691|691]]参照。))二年、祇園会を菅博士((「菅博士」は底本「管博士」。諸本により訂正。))行衡、三条堀川にて見けるに、車の後ろの方を引きて過ぎける牛、鴟(とみ)の尾の方より車の下に入りて、車にかけたる牛の左の腹を突きてけり。行衡が牛、驚き走りければ、突きたる牛も同じく走りけり。引きて過ぎつる童、後ろの方より綱を取りて引き返しけるほどに、車をうち返さんとして、板敷も牛の角に当たりて破れにけり。不思議にあさましかりけることなり。
===== 翻刻 =====
同二年祇園会を管博士行衡三条堀川にてみける
に車のうしろのかたを引てすきける牛とみのおの
かたより車のしたに入て車にかけたる牛の左の腹
をつきてけり行衡か牛おとろきはしりけれは
つきたる牛もおなしく走けり引てすきつる童
うしろの方より綱をとりて引返しける程に車を
うちかへさんとして板敷も牛の角にあたりてやふ
れにけり不思儀にあさましかりけることなり/s540r
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/540