[[index.html|古今著聞集]] 草木第二十九 ====== 669 ある貴所より仰せを承りて桜をあまた植ゑける折節・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== ある貴所より仰せを承りて、桜をあまた植ゑける折節、隆祐朝臣((藤原隆祐))、「白河の花、すでに散り侍るなり。ただ今見にまかり侍るに」といざなひければ、今日かかることにかかりて、えなん伴ふまじきよし申しければ、をし返し詠みてつかはしける、  移し植うる花は千年のものなれば散る木のもとを急げとぞ思ふ 返し、聞き侍りしを、忘れ侍りにけり。 ===== 翻刻 ===== 或貴所より仰をうけ給て桜をあまたうへける折ふし 隆祐朝臣白河の花すてにちり侍る也たたいま見に まかり侍にといさなひけれはけふかかる事にかかりて えなんともなふましきよし申けれはをし返しよみてつかはしける  うつしうふる花は千とせの物なれはちる木のもとをいそけとそ思ふ   返しきき侍しをわすれ侍にけり/s525l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/525