[[index.html|古今著聞集]] 変化第二十七
====== 590 延長七年四月二十五日の夜宮中に鬼の跡ありけり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
延長七年四月二十五日の夜、宮中に鬼の跡ありけり。玄輝門の内外、桂芳坊のほとり、中宮庁・常寧殿の内などにぞありける。大きなる牛の跡にぞ似たりける。そのひづめの跡、青く赤き色をまじへたりけり。一・二日の間に次第に失せけり。
北の陣の衛士(ゑじ)が見けるには、大きなる熊、陣中に入りて、すなはち見えず。その鬼の跡の中に、幼き者の跡もまじりたりけりとぞ。
恐ろしかりけることかな。
===== 翻刻 =====
延長七年四月廿五日夜宮中に鬼のあとありけり玄
輝門内外桂芳坊のほとり中宮庁常寧殿のう
ちなとにそありける大なる牛の跡にそ似たりける
そのひつめのあとあをくあかき色をましへたりけり/s467l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/467
一二日の間に次第にうせけり北陣の衛士か見けるに
は大なる熊陣中にいりてすなはちみえす其鬼の
あとの中にをさなきものの跡もましりたりけりと
そおそろしかりける事かな/s468r
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/468