[[index.html|古今著聞集]] 興言利口第二十五 ====== 571 宝治の日吉の御幸にある上達部供奉ありけるに侍五人具せられたりけり・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 宝治の日吉(ひえ)の御幸に、ある上達部供奉ありけるに、侍五人具せられたりけり。 面々にきらめきたりける中に、一人の侍、薄色の白裏の狩衣を着たりけるが、色を染損じて、よに悪(わろ)く見えけるを、後に長門守盛重((藤原重盛か。))、かの侍に会ひて、「先日の御供の侍ども、面々にきらめきて侍しに、薄色の狩衣着て候ひし悪男は誰にて侍るぞ」と言ひたりける。面目なく覚えて、「誰(たれ)にて候ひけるやらん」とぞ答へける。をかしかりけることなり。 ===== 翻刻 ===== 宝治の日吉の御幸に或上達部供奉ありける/s449r に侍五人くせられたりけり面々にきらめきたり ける中に一人の侍薄色の白裏の狩衣をきた りけるか色を染損してよにわろく見えけるを 後に長門守盛重彼侍にあひて先日の御共の 侍とも面々にきらめきて侍しに薄色のかり衣き て候し悪男は誰にて侍そといひたりける面目 なくおほえてたれにて候けるやらんとそこたへける をかしかりける事也/s449l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/449