[[index.html|古今著聞集]] 画図第十六
====== 388 帥の大臣に屏風を売る人ありけり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
帥の大臣(おとど)((藤原伊周))に屏風を売る人ありけり。公茂((巨勢公茂))・弘高((巨勢広高))などに見せられけり。
公茂・弘高を招きて言ひけるは、「この野筋、この松、なんぢ及ぶべからず。おそらくは公忠((巨勢公忠))が描くところか」。弘高、承伏しけり。公茂がいはく、「公忠は屏風を書くとては、必ずその屏風のひらのすみごとに、おのれが名を書きけり」。
こころみにはなちて見るに、案のごとく公忠が字ありけり。いみしかりけることなり。
===== 翻刻 =====
帥のおととに屏風を売人ありけり公茂弘高なとに
みせられけり公茂弘高をまねきていひけるは此野
筋此松汝及へからすおそらくは公忠かかく所か弘
高承伏しけり公茂か云公忠は屏風を書とては
必其屏風のひらのすみことにをのれか名を書けり
こころみにはなちてみるに案のことく公忠か字
ありけりいみしかりける事也/s294l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/294