[[index.html|古今著聞集]] 馬芸第十四
====== 362 播磨府生貞弘が家近く陰陽師ありけり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
播磨府生貞弘((秦貞弘))が家近く陰陽師ありけり。馬をまうけたりけるを、貞弘を呼びて、乗り心みるべきよし言ひければ、貞弘、奇怪に思ひながら、行きて乗りてけり。
うち回して、やがて乗りながら家へ帰りにけり。陰陽師、「こはいかに」とて、馬を乞ひければ、「さもあらず。なんぢほとの者が、貞弘を呼びて庭乗せさせて見るべきことかは。馬を取らせんと思へばこそ乗せつらめ」とて、やがて領じてければ、力及ばでぞありける。
===== 翻刻 =====
播磨府生貞弘か家ちかく陰陽師ありけり馬を
まうけたりけるを貞弘をよひて乗心見るへき
よしいひけれは貞弘奇怪に思なから行て乗てけ/s263l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/263
りうちまはしてやかて乗なから家へ帰りにけり陰
陽師こはいかにとて馬をこひけれはさもあらす汝ほ
との物か貞弘をよひて庭乗せさせて見るへ
き事かは馬をとらせんと思へはこそのせつらめと
てやかて領してけれはちからおよはてそ有ける/s264r
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/264