[[index.html|古今著聞集]] 孝行恩愛第十 ====== 304 京極大殿の北政所例ならぬことおはしましけるに・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 京極大殿(師実)((藤原師実))の北政所(きたのまんどころ)((源麗子))、例ならぬことおはしましけるに、六条右府(顕房)((源顕房))、御とぶらひに参り給ひて、すなはち院((白河上皇))へ参り給ひけるに、御対面ありて、「世間に何事かある」と仰せられければ、「関白の北政所の不例のとぶらひにまかり向ひて候ひつるに、病者の傍ら、長押(なげし)の下(しも)に、大臣三人候ひつる、もつてのほかのことなり」と申されければ、「これらに、さほどのことはありがたし」とぞ、御返事ありける。まことにゆゆしかりけることなり。 堀河左大臣(俊房)((源俊房))・六条右大臣は北政所の御せうとなり。後二条殿(師通)((藤原師通))は御子にておはします。その時は内大臣にてぞおはしける。 ===== 翻刻 ===== 京極(師実)大殿の北政所例ならぬ事をはしましけるに六条(顕房) 右府御とふらひにまいり給て則院へまいり給けるに御 対面ありて世間に何事かあると仰られけれは関白の北政 所の不例のとふらひにまかりむかひて候つるに病者のかた はらなけしのしもに大臣三人候つる以外の事也と申されけ れはこれらにさ程の事はありかたしとそ御返事ありける誠に ゆゆしかりけること也堀河(俊房)左大臣六条右大臣は北政所の 御せうと也後二条(師通)殿は御子にてをはします其時は内大臣にて/s211l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/211 そをはしける軼人監物頼能重病をうけたりける時/s212r http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/212