[[index.html|古今著聞集]] 孝行恩愛第十
====== 303 六条右大臣隆俊中納言と大内を見歩き給ひけるに・・・ ======
===== 校訂本文 =====
六条右大臣((源顕房))、隆俊中納言((源隆俊))と大内を見歩(あり)き給ひけるに、大内には、子孫の殿上人を具せざる人は、裸足にて庭を歩む所のあんなるに、久我大相国((源雅実))幼少の時、両人の沓を懐中して、かの所にて履かせられたりけり。
幼少の人、外祖父をも思ひ捨てられざりけること、ありがたきことなり。隆俊卿、感涙を流して、母儀のもとに行きて、悦び申されけるとなん。
===== 翻刻 =====
六条右大臣隆俊中納言と大内を見ありき給けるに
大内には子孫の殿上人を具せさる人ははたしにて庭を
あゆむ所のあんなるに久我大相国幼少の時両人の沓/s211r
を懐中して彼所にてはかせられたりけり幼少の人外祖
父をも思すてられさりけることありかたき事也隆俊卿感涙
を流して母儀のもとに行て悦申されけるとなん/s211l
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