[[index.html|古今著聞集]] 和歌第六
====== 172 待賢門院の女房に加賀といふ歌詠みありけり・・・ ======
===== 校訂本文 =====
待賢門院((鳥羽天皇皇后藤原璋子))の女房に加賀((待賢門院加賀))といふ歌詠みありけり。
かねてより思ひしことよ伏し柴のこるばかりなる歎きせんとは
といふ歌を年ごろ詠みて持ちたるを、「同じくは、さるべき人に言ひ契りて、忘られたらんに詠みたらば、集など入りたらん。おもても優(いう)なるべし」と思ひて、いかがしたりけん、花園の大臣(おとど)((源有仁))に申しそめてけり。思ひのごとくにやなりにけん、この歌を参らせたりければ、大臣いみじくあはれに思しけり。
さて、かひがひしく『千載集((千載和歌集))』に入りにけり。世の人、「伏し柴の加賀」とぞ言ひける。能因が振舞ひに似たりけるにや(([[s_chomonju171|171]]参照。))。
===== 翻刻 =====
待賢門院の女房に加賀といふ哥よみありけり
かねてより思しことよふし柴のこるはかりなるなけきせんとは
といふ哥をとし比よみて持たるをおなしくはさるへき人に
いひちきりてわすられたらんによみたらは集なと入たらん
おもても優なるへしと思ていかかしたりけん花園の/s127l
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/127
おととに申そめてけりおもひのことくにやなりにけん此哥
をまいらせたりけれはおとといみしくあはれにおほしけりさて
かひかひしく千載集に入にけり世の人ふししはの加賀と
そいひける能因か振舞に似たりけるにや/s128r
http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/128