[[index.html|古今著聞集]] 神祇第一 ====== 29 承元四年正月十六日大外記良業死たりける・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 承元四年正月十六日、大外記良業((清原良業))死にたりける。十六日の暁、河内守繁雅((平繁雅))が夢に、賀茂の御前にて、除目行なはるる気色なりけるに、小折紙に「大外記中原師方」と書かれたりと見て、覚めにけり。 急ぎこのよし、師方に告げたりければ、多年つかふまつりたるしるしと覚えて、かたじけなく憑(たの)もしく覚えけるに、やがて、その夜大外記になりにけり。 先に、助教仲隆((清原仲隆))・助教師高((中原師高))・師季((中原師季))など競望しける上、師方は大監物にて、いまだ儒官を経ざりければ、「直ちに拝任いかが」と沙汰ありけり。 重代稽古の者なりけれども、引き立つる人もなかりけるに、かたじけなくも神恩をかぶりて、先途を達してける、目出たきほどの者なりける。 ===== 翻刻 ===== 承元四年正月十六日大外記良業死たりける十六日 の暁河内守繁雅か夢に賀茂の御前にて除目おこ なはるるけしき成けるに小折紙に大外記中原師方と かかれたりとみて覚にけりいそき此由師方に告たりけれ は多年つかふまつりたるしるしと覚て忝憑もしく 覚けるに軈其夜大外記に成にけりさきに助教仲隆 助教師高師季なと競望しけるうへ師方は大監物にてい/s26r また儒官をへさりけれは直に拝任いかかと沙汰ありけり重代 稽古のものなりけれとも引たつる人もなかりけるに忝 神恩をかふりて先途を達してける目出程のものなりける/s26l http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/26