[[index.html|古今著聞集]] 神祇第一 ====== 15 基隆朝臣周防国を知りけるころ保安三年十月に語りけるは・・・ ====== ===== 校訂本文 ===== 基隆朝臣((藤原基隆))、周防国を知りけるころ、保安三年十月に語りけるは、かの国に島明神とておはします。 神主、牢籠の事ありて、論じける者ありとて、神田を刈り取らんとしければ、宝前より蛇三百ばかり出でたり。その内に角ある、二つありける。しばしありて、入りぬ。 その後、なほ刈らんとしければ、鳥数万飛び来たりて、神田の稲の穂を食ひ抜きて、みな神殿の上に葺きけり。不思議のことなり。遠国の神、かかること、なかなかおはするものなり。 ===== 翻刻 ===== 基隆朝臣周防国をしりける比保安三年十月にかたり けるは彼国に島明神とておはします神主牢籠の事 ありて論しけるものありとて神田を刈とらんとしけ れは宝前より蛇三百はかり出たり其内に角ある 二ありけるしはしありて入ぬ其後なをからんとしけれは鳥数 万とひきたりて神田の稲の穂を食ぬきてみな神殿の上に 葺けり不思議の事也遠国の神かかること中々おはする物也/s18r http://kotenseki.nijl.ac.jp/biblio/100190287/viewer/18