====== 神道集 ====== しんとうしゅう ===== 成立 ===== 内部[[徴証]]から文和・延文年間(1352〜1361)ごろ成立したと考えられている[[説話集]]。 作者は不詳だが、各巻の内題の下に「安居院作」とあることから、[[安居院流]]の[[唱導]]の関係者の作とする説がある。 ===== 内容 ===== 各国の寺社の[[縁起]]や神の由来などに関する説話を集めたもので、10巻50話からなる。[[上野国]]、[[信濃国]]、[[下野国]]の寺社にくわしく、とりわけ、上野国の縁起が多いことから、成立に関して上州に何らかの関連があることが指摘される。 各説話は[[本地垂迹説]]をもとに寺社の縁起や諸神の霊験などを描くが、単純な縁起ではなく、人間の愛や苦悩を描くドラマとなっている。 巻二第六話「熊野権現の事」が「熊野の本地」の元になったように、神道集の説話は、[[御伽草子]]類、[[説教浄瑠璃]]などへ大きな影響を与え、『[[曽我物語]]』とも深い関係をもつ。 ===== 諸本 ===== ==== 古本系 ==== * 真福寺本 * 巻1・3・7のみ現存。 * 永享5年(1433)書写の最古[[写本]] * 赤城文庫本 * 巻1を欠く。 * 貴志正造・近藤喜博編『赤城文庫本 神道集』(角川書店・昭和43年)に[[影印]]。 * 天理図書館本 * 巻6のみ。 * 渡辺国雄・近藤喜博編『河野本 神道集』(角川書店・昭和37年)に影印(付録)。 * 彰考館本 * 巻3以降は赤木文庫本の臨模。 * 横山重解説『神道集』彰考館本(昭和9年・大岡山書店)に影印。 ==== 流布本系 ==== * 東洋文庫本 * 近世初期写。 * 近藤喜博校訂『神道集 東洋文庫本』(角川書店・昭和34年)に[[翻刻]]。 * 神宮文庫所蔵豊宮崎本 * 河野本 * 近世中期写。 * 渡辺国雄・近藤喜博編『河野本 神道集』(角川書店・昭和37年)に影印。 ===== 参考サイト ===== * 『神道集』の神々 * http://www.lares.dti.ne.jp/hisadome/shinto-shu/index.html ===== 参考文献 ===== * 東洋文庫『神道集』(貴志正造訳・平凡社・昭和42年7月) * 抄出・現代語訳 * 鑑賞日本古典文学23『中世説話集』(西尾光一 貴志正造編・角川書店・昭和52年5月) * 抄出 {{tag>鎌倉時代 説話 神道 仏教}}