====== 宝物集 ====== ほうぶつしゅう ===== 成立 ===== [[平安時代]]末期から[[鎌倉時代]]初期にかけて成立したと考えられる仏教[[説話集]]。 作者は鹿ケ谷事件により鬼界ヶ島に流された[[平康頼]]が帰京後に書いたものと考えられているが、康頼仮託説や増補説もある。 ===== 内容 ===== 鬼界が島から帰京した男が、釈迦堂に参詣する。夜になって、参詣者たちが人にとっていちばんの宝とは何かという議論をする。隠れ蓑、打ち出の小槌、金、玉、子、命、と議論するがそれぞれ否定され、仏法が一番の宝だということになり、そこにいた僧により仏法が説かれる。 ===== 諸本 ===== 一巻本から九冊本まで、内容の長短がはなはだしい[[異本]]が多い。 * 一巻本系 * 宮内庁書陵部本 * 大日本仏教全書・続群書類従所収 * 二巻本系 * 宮嶋本(静嘉堂文庫)・松井本(静嘉堂文庫)・国立国会図書館本・梁瀬一雄氏蔵本など * 梁瀬一雄氏蔵本は碧沖洞叢書所収 * 平仮名古活字三巻本系 * 古典文庫(昭和28年)所収 * 平仮名整版三巻本系 * 片仮名古活字三巻本系 * 続続群書類従所収 * 第一種七巻本系(元禄六年刊製版本系) * 大日本仏教全書・名著文庫所収 * 第二種七巻本系(九冊本系) * 吉田幸一氏所蔵九冊本は古典文庫・『九冊本宝物集と索引』所収 ===== 参考 ===== ==== 本文 ==== * 続[[群書類従]]第三十二集下雑部 * 一巻本と片仮名古活字三巻本。 * 名著文庫『宝物集』(芳賀八一・冨山房・昭和2年4月10日) * 底本は元禄六年刊製版本(第一種七巻本)。 * 『九冊本宝物集と索引』(福原昭五・近代文芸社・1993/04/10) * 吉田幸一氏蔵九冊本(古典文庫に翻刻)の再刊と索引。 * 新日本古典文学大系『宝物集・[[閑居友]]・[[比良山古人霊託]]』(小泉弘 山田昭全校注・岩波書店・1993/11/22) * 底本は九冊本系七巻本の吉川泰雄氏蔵本。