====== 夜の鶴 ====== よるのつる ===== 成立と内容 ===== [[鎌倉時代]]に成立した[[歌論]]書。[[阿仏尼]]による。 冒頭によると、ある「さりがたき人」の依頼によって書かれ、同じ内容を息子の[[冷泉為相]]に伝えたもの。「さりがたき人」は、依頼を断ることができないほどの高貴な人ということだが、諸説あるものの誰かは分からない。 書名は後人が付けたもので、他に『阿仏口伝(あぶつくでん)』『夜鶴抄(やかくしょう)』などとも呼ばれる。なお、「夜の鶴」とは子を思う親心の意味で、[[白居易]]の五絃弾という詩を出典とする。 [[消息]]体で例歌を引きながら、[[和歌]]を詠むときの心得、詠みかた、参考にすべき歌集などを、分かりやすく具体的に指導する和歌入門書である。 なお、作者の阿仏尼は、藤原為家の側室であるため、[[藤原俊成]]、[[藤原定家]]、[[藤原為家]]などの説を伝えている。 ===== 参考文献 ===== * 『校注阿仏尼全集』(簗瀬一雄校注・風間書房・昭和33年) * 講談社学術文庫『十六夜日記・夜の鶴』(森本元子・講談社・昭和54年3月)