====== 万葉仮名 ====== まんようがな ===== 定義 ===== 日本語の表記のため、[[漢字]]を[[表音文字]]として用いる表記法。[[仮名]]の一種だが、漢字をくずしてつくられた[[平仮名]]、漢字の一部を利用して作られた[[片仮名]]とは違い、漢字をそのまま使用する。『[[万葉集]]』の表記法であることから、この名がついた。 古くは「稲荷山古墳出土鉄剣銘」(五世紀ごろ)に人名表記として見られるが、[[奈良時代]]さかんに用いられるようになり、[[平安時代]]に特殊な用途を除いて[[草仮名]]・[[平仮名]]にとってかわる。 万葉仮名には[[字音]]を借りた「音仮名」と[[字訓]]を借りた訓仮名がある。音仮名には、『[[古事記]]』などに多く見られる呉音によったもの、『[[日本書紀]]』に多く見られる漢音によったものなどがある。 また、かならずしも一字一音節ではない。 ===== 例 ===== 【『万葉集』318山部赤人】 万葉仮名 >田兒之浦従 打出而見者 真白衣 不盡能高嶺尓 雪波零家留 訓読 >田子の浦ゆ うち出でて見れば 真白にぞ 富士の高嶺に 雪は降りける 四句目、不(ふ)盡(じ)能(の)尓(に)五句目波(は)家(け)留(る)が音仮名で、一句目、之(の)従(ゆ)二句目而(て)者(は)が訓仮名。