wmr:jangsu
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wmr:jangsu [2014/05/03 21:52] – 作成 Satoshi Nakagawa | wmr:jangsu [2014/05/04 02:09] – [8/9 はれ 高郵市~揚州市 炒飯うまい!] Satoshi Nakagawa | ||
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川で遊んでいるのは、子供ばかりではない。このあたりから、農業用の牛が普通の牛ではなく、水牛に変るのである。水牛は読んで字のごとく、水を好む。池や川につかって目と鼻と角だけを出しているのだ。すごく気持ち良さそうで、できることなら僕らも水牛のように水につかりたいと思った。 | 川で遊んでいるのは、子供ばかりではない。このあたりから、農業用の牛が普通の牛ではなく、水牛に変るのである。水牛は読んで字のごとく、水を好む。池や川につかって目と鼻と角だけを出しているのだ。すごく気持ち良さそうで、できることなら僕らも水牛のように水につかりたいと思った。 | ||
- | 宿遷市につくすこし手前の村で休憩していると、なにやら音楽を鳴らし、花かざりを持ったにぎやかな行列が辻から出てきた。なにか村の祭りかと思ったが、休憩していた所の水売りに聞くと葬式だそうである。笙、チャルメラ、ドラ、シンバルを演奏しながら行列するのである。棺桶は持っていないようだ。 | + | 宿遷市((項羽の出身地。))につくすこし手前の村で休憩していると、なにやら音楽を鳴らし、花かざりを持ったにぎやかな行列が辻から出てきた。なにか村の祭りかと思ったが、休憩していた所の水売りに聞くと葬式だそうである。笙、チャルメラ、ドラ、シンバルを演奏しながら行列するのである。棺桶は持っていないようだ。 |
そのなかで、もっとも目立つのが、なんだか小学生の工作のような大きな自動車のハリボテである。地元の人によると、現世で自動車が持てなかった、故人に対するプレゼントだそうだ。この葬式を出すのになんと数千元かかるらしい。日本と同じように香典は出るらしいが、大変な額である。 | そのなかで、もっとも目立つのが、なんだか小学生の工作のような大きな自動車のハリボテである。地元の人によると、現世で自動車が持てなかった、故人に対するプレゼントだそうだ。この葬式を出すのになんと数千元かかるらしい。日本と同じように香典は出るらしいが、大変な額である。 | ||
- | 宿遷市の開発区で宿をとる。このあたりは田舎だが、何軒か旅館がとなりあっているところがあったので、そこの華凌賓館というホテルに入る。ここは非常に新らしく六月にオープンしたばかりらしい。なんでもここのオヤジが、三年後ここが開発されるのを見込んで作ったという。おやじのベルトには公安のマークが光っていた。きっと公安を定年退職でもして、作ったのだろう。 | + | 宿遷市の開発区で宿をとる。このあたりは田舎だが、何軒か旅館がとなりあっているところがあったので、そこの華凌賓館というホテルに入る。ここは非常に新しく六月にオープンしたばかりらしい。なんでもここのオヤジが、三年後ここが開発されるのを見込んで作ったという。おやじのベルトには公安のマークが光っていた。きっと公安を定年退職でもして、作ったのだろう。 |
中国の変化はとても早い。オヤジの目論見が当るか外れるかは分らないが、早晩結果がでるのだろう。 | 中国の変化はとても早い。オヤジの目論見が当るか外れるかは分らないが、早晩結果がでるのだろう。 | ||
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悪い予感は的中した。小さな村の交差点で、Tが行った後、私の前をトラクターが横切ったのだ。私はあわててブレーキを引いたが止らない。すぐさまハンドルを右に切ったので、トラクターは回避できたが、そこにIがつっこんできて、二人とも落車してしまった。 | 悪い予感は的中した。小さな村の交差点で、Tが行った後、私の前をトラクターが横切ったのだ。私はあわててブレーキを引いたが止らない。すぐさまハンドルを右に切ったので、トラクターは回避できたが、そこにIがつっこんできて、二人とも落車してしまった。 | ||
- | 幸い二人ともたいした怪我はなかった。私は足をしたたかに打ってしばらく痺れていたが、しばらく休んでいると治った。Iはグローブをしていなかったので、手を擦剥いてしまったが、これもたいしたことはない。私もグローブをしていなければ、もっと怪我をしていたろう。 | + | 幸い二人ともたいした怪我はなかった。私は足をしたたかに打って痺れていたが、しばらく休んでいると治った。Iはグローブをしていなかったので、手を擦剥いてしまったが、これもたいしたことはない。私もグローブをしていなければ、もっと怪我をしていたろう。 |
- | 自転車は私の方の前輪が歪んでしまったが、横にしてホイールを抑えつけたらなおってしまった。おそらくスポークのテンションが低いのだろう。 | + | 自転車は私の方の前輪が歪んでしまったが、横にしてホイールを抑えつけたらなおってしまった。おそらくスポークのテンションが低いのだろう((これは中国の自転車の仕様らしい。追加料金を払うとテンションをあげてくれるそうだ。まあ、自分でやればいいんだけど。))。 |
それにしても、Iは近付きすぎだ。こいつは状況をまったく考えていない。前に自転車に接近するのは、風よけのためである。しかし、雨という状況を考えれば、すぐにこの場合それが危険な行為だということは分るはずだ。 | それにしても、Iは近付きすぎだ。こいつは状況をまったく考えていない。前に自転車に接近するのは、風よけのためである。しかし、雨という状況を考えれば、すぐにこの場合それが危険な行為だということは分るはずだ。 | ||
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淮陰を出て数十キロほど行くと、もともとの目的地だった淮安に至る。たしかに、こちらのほうが歴史を感じさせるおもむきのある街である。日本で例えるなら、さしずめ金沢といったところだろうか。 | 淮陰を出て数十キロほど行くと、もともとの目的地だった淮安に至る。たしかに、こちらのほうが歴史を感じさせるおもむきのある街である。日本で例えるなら、さしずめ金沢といったところだろうか。 | ||
- | 宿遷のおやじは私たちが淮安に泊る予定だといったら、淮安の方が歴史が古いからそれはいいアイディアだと言っていたが、たしかにそのとおりだった。ちなみに、この街は円仁の『入唐求法巡礼行記』にもでてくる。円仁はこの街から揚州までの運河を私たちとは逆方向に、つまり南から北へと進んできたのだ。円仁に限らず、私たちの先祖の遣唐使たちは、ほとんどがこの運河をのぼってきたらしい。 | + | 宿遷のおやじは私たちが淮安に泊る予定だといったら、淮安の方が歴史が古いからそれはいいアイディアだと言っていたが、たしかにそのとおりだった。ちなみに、この街は円仁の『[[rhizome:入唐求法巡礼行記]]』にもでてくる。円仁はこの街から揚州までの運河を私たちとは逆方向に、つまり南から北へと進んできたのだ。円仁に限らず、私たちの先祖の遣唐使たちは、ほとんどがこの運河をのぼってきたらしい。 |
- | 淮安では、周恩来記念館と周恩来故居を見物した。思えば、私たちがここへこうして来られるのも、周恩来と田中角栄のおかげである。ちなみに周恩来は中国では最も人気のある政治家である。 | + | 淮安では、周恩来記念館と周恩来故居を見物した。思えば、私たちがここへこうして来られるのも、周恩来と田中角栄のおかげである。ちなみに周恩来は中国では最も人気のある政治家らしい。 |
- | 周恩来記念館を出て、周恩来故居へ向かう途中、私はどうせ短い距離だからといいかげんに荷作りしてしまい、荷崩れをおこしてしまった。キャリアからバンジーコードが外れ、スプロケットに搦まってしまったのだ。バンジーコードはスプロケットにしっかりと食い付き、まったく動かなくなってしまった。その時、近くを走っていた三輪タクシー数台が、私の仕事を手伝ってくれた。 | + | 周恩来記念館を出て、周恩来故居へ向かう途中、私はどうせ短い距離だからといいかげんに荷作りしてしまい、荷崩れをおこしてしまった。キャリアからバンジーコード((荷物を結ぶゴム))が外れ、スプロケット((後ろのギヤ))に搦まってしまったのだ。バンジーコードはスプロケットにしっかりと食い付き、まったく動かなくなってしまった。その時、近くを走っていた三輪タクシー数台が、私の仕事を手伝ってくれた。 |
東京ではとても考えられない光景である。私は彼らにとても感謝するとともに、私たちが失なってしまったもののことを考えた。 | 東京ではとても考えられない光景である。私は彼らにとても感謝するとともに、私たちが失なってしまったもののことを考えた。 | ||
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江都市を抜け、揚州についたのはまだ昼ごろだった。揚州でやや遅い昼食を摂る。魚のスープを食ったが、とてもうまい。もちろん揚州炒飯も食べた。 | 江都市を抜け、揚州についたのはまだ昼ごろだった。揚州でやや遅い昼食を摂る。魚のスープを食ったが、とてもうまい。もちろん揚州炒飯も食べた。 | ||
- | ここも大きな街だから、例によって外国人は泊められないという理由でホテルをたらい回しにされた。しかし、結局西園大酒店というやたらとゴージャスなホテルに泊る。まわりをちょっと散歩してみると、博物館がすぐ隣りである。 | + | ここも大きな街だから、例によって外国人は泊められないという理由でホテルをたらい回しにされた。しかし、結局西園大酒店というやたらとゴージャスなホテルに泊る。まわりをちょっと散歩してみると、博物館がすぐ隣である。 |
- | さて、高郵でTが買った双黄蛋は、ナマだった。ちょうどピータンのように、大きな卵が泥につつまれている。振ってみると、中身がぐちゃぐちゃと動く。このままでは食べられないので、ホテルの厨房にお願いして茹でてもらった。 | + | さて、高郵でTが買った双黄蛋は、ナマだった。ちょうどピータンのように、大きな卵が泥につつまれている。振ってみると、中身がぐちゃぐちゃと動く。このままでは食べられないので、ホテルの厨房にお願い((嫌がるのを無理やり))して茹でてもらった。 |
- | どうも泥は卵の中身に味を付けるためのもののようである。ほのかな塩味がする。運河の泥なのだろうか。たしかに黄身は二つ入っているが、決して旨いものではない。 | + | どうも泥は卵の中身に味を付けるためのもののようである。ほのかな塩味がする。運河の泥なのだろうか。たしかに黄身は二つ入っているが、決して旨いものではない((これは本来お粥に入れて食べるものらしい。))。 |
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wmr/jangsu.txt · 最終更新: 2014/05/04 02:12 by Satoshi Nakagawa