text:yomeiuji:uji195
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text:yomeiuji:uji195 [2019/12/07 16:46] – Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji195 [2019/12/07 16:51] (現在) – [校訂本文] Satoshi Nakagawa | ||
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- | 今は昔、唐土の秦始皇((始皇帝))の代に、天竺より僧渡れり。帝(みかど)、怪しみ給ひて、「これはいかなる者ぞ。何事によりて来たれるぞ」。僧申していはく、「釈迦牟尼仏の御弟子なり。仏法を伝へんために、遥かに西天より来たり渡れるなり」と申しければ、帝、腹立ち給ひて、「その姿きはめて怪し。頭の髪、禿(かぶろ)なり。衣の体、人に違(たが)へり。仏の御弟子と名乗る。仏とは何者ぞ。これは怪しき者なり。ただに返すべからず。獄(ひとや)にこめよ。今より後、かくのごとく怪しきこと言はん者をば、殺さしむべきものなり」と言ひて、獄にすゑられぬ。「深く閉ぢこめて、重くいましめて置け」と宣旨下されぬ。人屋の司の者、宣旨のままに、重く罪ある者置く所にこめて置きて、戸にあまた錠(ぢやう)さしつ。 | + | 今は昔、唐土の秦始皇((始皇帝))の代に、天竺より僧(([[: |
この僧、「悪王にあひて、かく悲しき目を見る。わが本師釈迦如来、滅後なりとも、あらたに見給ふらん。われを助け給へ」と念じ入りたるに、釈迦仏、丈六の御姿にて、紫磨黄金(しまわうごん)の光を放ちて、空より飛び来たり給ひて、この獄門を踏み破りて、この僧を取りて去り給ぬ。 | この僧、「悪王にあひて、かく悲しき目を見る。わが本師釈迦如来、滅後なりとも、あらたに見給ふらん。われを助け給へ」と念じ入りたるに、釈迦仏、丈六の御姿にて、紫磨黄金(しまわうごん)の光を放ちて、空より飛び来たり給ひて、この獄門を踏み破りて、この僧を取りて去り給ぬ。 |
text/yomeiuji/uji195.txt · 最終更新: 2019/12/07 16:51 by Satoshi Nakagawa