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宇治拾遺物語

第190話(巻15・第5話)土佐判官代通清、人違して関白殿に合奉る事

土佐判官代通清人違シテ関白殿ニ奉合事

土佐判官代通清、人違して関白殿に合奉る事

これも今はむかし、土佐判官代通清といふもの有けり。歌をよみ、源氏、狭衣などをうかべ、花の下、月の前とすきありきけり。

かかるすき物なれば、後徳大寺左大臣、「大内の花みんずるに、かならず」といざなはれければ、通清、「目出き事にあひたり」と思て、やがて破車にのりて行程に、あとより車二三ばかりして人のくれば、「うたがひなき、此左大臣のおはする」と思て、尻の簾をかきあげて、「あなうたて、あなうたて。とくとくおはせ」と扇を開てまねきけり。

はやう関白殿の物へおはしますなりけり。まねくをみて、御ともの随身、馬をはしらせて、かけよせて、車の尻の簾をかりおとしてけり。其時通清、あはてさはぎて、前よりまろびおちける程に、烏帽子落にけり。いといと不便なりけりとか。

すきぬる物は、すこしおこにもありけるにや。

text/yomeiuji/uji190.txt · 最終更新: 2014/10/13 13:44 by Satoshi Nakagawa
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