text:yomeiuji:uji167
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text:yomeiuji:uji167 [2014/04/18 21:24] – 作成 Satoshi Nakagawa | text:yomeiuji:uji167 [2017/09/21 20:30] – [第167話(巻13・第7話)或唐人、女の羊に生たる知らずして殺す事] Satoshi Nakagawa | ||
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+ | 宇治拾遺物語 | ||
====== 第167話(巻13・第7話)或唐人、女の羊に生たる知らずして殺す事 ====== | ====== 第167話(巻13・第7話)或唐人、女の羊に生たる知らずして殺す事 ====== | ||
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さて、二年斗ありてゐ中にくだりて、したしき一家の一類はらからあつめて、国へくだるべきよしをいひ侍らんとするに、市より羊を買とりて、「この人々にくはせん」とするに、その母の夢にみる様、うせにしむすめ、青き衣をきて、しろきさいでして、かしらをつつみて、髪に玉のかんざし一よそひをさしてきたり。いきたりしおりにかはらず。 | さて、二年斗ありてゐ中にくだりて、したしき一家の一類はらからあつめて、国へくだるべきよしをいひ侍らんとするに、市より羊を買とりて、「この人々にくはせん」とするに、その母の夢にみる様、うせにしむすめ、青き衣をきて、しろきさいでして、かしらをつつみて、髪に玉のかんざし一よそひをさしてきたり。いきたりしおりにかはらず。 | ||
- | 母にいふやう、「わがいきて侍し時に、父母、われをかなしう給て、よろづをまかせ給へりしかば、おやに申さで、物をとりつかひ、又人にもとらせ侍き。ぬすみにはあらねど、申さでせし罪により、いま羊の身をうけたり。きたりて、そのほうをつくし侍らんとす。あすまさにくびしろき羊になりて殺されんとす。ねがわくは我命をゆるし給へ」といふとみつ。 | + | 母にいふやう、「わがいきて侍し時に、父母、われをかなしうし給て、よろづをまかせ給へりしかば、おやに申さで、物をとりつかひ、又人にもとらせ侍き。ぬすみにはあらねど、申さでせし罪により、いま羊の身をうけたり。きたりて、そのほうをつくし侍らんとす。あすまさにくびしろき羊になりて殺されんとす。ねがわくは我命をゆるし給へ」といふとみつ。 |
おどろきて、つとめて食物する所をみれば、誠に青き羊の、くび白きあり。はぎ、せなかしろくて、頭にふたつのまだらあり。つねの人のかんざしさす所なり。 | おどろきて、つとめて食物する所をみれば、誠に青き羊の、くび白きあり。はぎ、せなかしろくて、頭にふたつのまだらあり。つねの人のかんざしさす所なり。 | ||
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さて、羊を殺していりやき、さまざまにしたりけれど、このまら人どもは、物もくはで帰にければ、あやしがりて、人々にとへば、しかじかなりと、はじめよりかたりければ、かなしみてまどひける程に、病に成て死ににければ、ゐ中にもくだり侍らずなりにけりとぞ。 | さて、羊を殺していりやき、さまざまにしたりけれど、このまら人どもは、物もくはで帰にければ、あやしがりて、人々にとへば、しかじかなりと、はじめよりかたりければ、かなしみてまどひける程に、病に成て死ににければ、ゐ中にもくだり侍らずなりにけりとぞ。 | ||
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text/yomeiuji/uji167.txt · 最終更新: 2019/11/19 11:01 by Satoshi Nakagawa